スラグとは
まず、私が解説する前にwikipedia様の教えをコピペいたします、、
スラグ(slag)あるいは鉱滓(こうさい)は、鉱石から金属を製錬する際などに、冶金対象である金属から溶融によって分離した鉱石母岩の鉱物成分などを含む物質をいう。スラグは、しばしば溶融金属上に浮かび上がって分離される。
参考 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%B0 2021/4/15時点
もうちょっと私なりに捕捉させていただきます。
スラグとは多くの場合、鉄や銅などの金属精錬の時に発生する不純物のことで、二酸化ケイ素 (SiO2)や 、酸化アルミニウム (Al2O3)、酸化カルシウム (CaO)、酸化マグネシウム (MgO) などから構成されます。
このスラグがどこから発生するのかというと、鉄鉱石(主成分は酸化鉄)や銅精鉱(銅と鉄の硫黄化合物)は、鉄や銅以外の不純物を少なからず含んでいます。
また、鉄の精錬ではコークスを還元材に使用しますが、コークスの10%強はSiO2などの灰分ですので、そういったものもスラグの発生源となります。
すごく端的にいうと、精錬で発生したゴミカスです(専門家の人から怒られてしまうかも…)。
そのせいかわかりませんが、製鉄界隈ではスラグのことを「滓(かす、のろ)」と呼んだりします。
また、ゴミ焼却炉や産業廃棄物処理工場で発生した残骸を、溶融させたものもスラグと呼ばれています。
なぜ溶融させるかというと、溶融させることで容積を減らすことができますし、高温下に晒すことでダイオキシンなどの有害物質を除去することができるからです。
スラグはどうやって製造されるのか
スラグを主目的で製造しているメーカーはいないのではないのでしょうか(スラグを溶融処理で無害化させて販売している場合は除いて)。
スラグは金属精錬の副生成物として発生している場合がほとんどです。
金属から不純物を取り除くとき、熱を加えて金属を溶解させ、溶けた金属の層と不純物の層に分離します。
この時の不純物の層がスラグです。
イメージ的にはマグマが近いですかね。
こちらはスラグを大きな鍋から放流している画像です(フリー素材にありました笑)
スラグの比重は溶融金属に比べてかなり小さいので、溶解した金属と比重分離することが可能です。
特に多いのが鉄鋼業から発生するスラグで、鉄を1000kg製造するためには300kg以上ものスラグが発生しています。
鉄を溶かす時に”ドロドロ”という表現がよく使われますが、実際は溶けた鉄は”サラサラ”と流れます。
溶けた鉄の粘度は水に近いため、溶けた鉄のことを”お湯”と呼んだりしています。
一方、スラグは本当に”ドロドロ”していて、金属精錬ではスラグの融点を下げたり、流動性をよくするために融材(フラックス)と呼ばれる、スラグの成分を調整する物質を原料中に加えたりします。
比重分離して得たスラグは、目的の素材になるように熱処理されて固体となります。
スラグは何に利用されるか
先ほどゴミカスと言ってしまったスラグですが、実は様々な用途で利用されています。
こちらは鐵鋼スラグ協会が発行している鉄鋼スラグ統計年報(2019年度版)からのグラフです。
ほとんどが道路用骨材、コンクリート骨材、セメントに利用されており、最近ではテトラポッドへも応用されているようです。
その他には割合は少ないですが、断熱材、肥料への用途もあります。
結構私たちの生活はスラグで囲まれているかもしれませんね。
まとめ
今回はスラグについて解説しました。
簡単にまとめると、
・スラグとは多くの場合、鉄や銅などの金属精錬の時に発生する不純物のこと
・ゴミ焼却炉や産業廃棄物処理工場で発生した残骸を溶融処理した際にも発生
・二酸化ケイ素 (SiO2)や 、酸化アルミニウム (Al2O3)、酸化カルシウム (CaO)、酸化マグネシウム (MgO) などから構成される
・精錬時に溶解した金属と比重分離して得られる
・路用骨材、コンクリート骨材、セメント利用がほとんど
です!
以上、お役に立てていただけると嬉しいです!