令和5年度 技術士一次試験(衛生工学部門) 問題1~2の解答と解説

令和5年度の技術士一次試験(衛生工学部門)の解説を行います。

 

 問題1 北緯35度の地点の日射及び日射調整に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

①冬至の水平面の終日日射量は、夏至の南鉛直面の終日日射量に比較して多い。

②大気透過率が大きいほど、直達日射が強く、逆に天空日射が弱くなる。

③東西鉛直面の日射は、日の出・日没付近の、太陽高度の低い状況に対応しているので、日射の調整には庇以外のブラインドなどが必要となる。

④北鉛直面は、年間を通じて直達日射を受けない。

⑤南鉛直面の終日日射量は、日射を遮蔽したい夏至のときに最小となる。
最も不適切な記述は④です。

(解説)

①正しい。終日日射量とは、終日(1日)あたりに受ける日射量のことである。冬至の水平面の終日日射および夏至の南鉛直面の終日日射をイラストにしたものを図1に示す。また、北緯35°の直達日射量の季節による変化を図2に示す。図2より、冬至の水平面の終日日射量は、夏至の南鉛直面の終日日射量に比較して多いことがわかる。

②正しい。地球の大気圏外に到達した日射量のうち、大気を直進し、平行光線として地表に到達した成分を直達日射量と呼び、日射が大気中で散乱された後、全天空から地表に到達する成分を天空日射量もしくは拡散日射量という。大気透過率は大気の透明度を表す指標で、大気透過率が大きいほど、直達日射が強くなる。

③正しい。東西面の日射は太陽高度の低い状況に対応しているので、日射の調整には庇(ひさし)以外のブラインドなどが必要となる。

④誤り。図2より、北鉛直面は4月下旬から8月下旬にかけて直達日射を受けている。

⑤正しい。図2より、南鉛直面の終日日射量は夏至の時に最少となることがわかる。

図1 太陽軌道と水平面、鉛直面のイラスト

図2 直達日射量の季節による変化

出典:倉渕 隆:初学者の建築講座 建築環境工学(第三版) 市ヶ谷出版社(2018年)

 

 問題2 建物の伝熱に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

①鋼、コンクリートなど密度が1,000kg/m3以上の大きい建築材料は、構造部材として使用される例が多いが、これらの熱伝導率は概ね1W/ (m・K)以上で大きく、熱を通しやすい。

②性能の高い断熱材を作るには、固体内部に大量の気体を含み、それらをなるべく微細な空隙に封じ込めるなどして、その流動を抑制する必要がある。

③屋外風速が3m/sの場合、外壁の屋外側の対流熱伝達率は、室内側の対流熱伝達率の値よりも小さい。

④日射遮蔽係数は、厚さ3mmの透明ガラスの日射熱取得率を基準に各種材料の日射熱取得率を表した値であるため、この値が小さい方が日射遮蔽効果は高い。

⑤中空層の熱抵抗は、その厚さが2〜5cm程度までは、厚さを増すほど熱抵抗は増大するが、それ以上ではほとんど変化しない。

 

最も不適切な記述は③です。

(解説)

熱が固体中を高温部から低温部へ移動する現象を熱伝導と呼び、その固体の熱の伝えやすさのことを熱伝導率と呼ぶ。金属のような熱の伝えやすいものほど熱伝導率は大きく、断熱材のような熱を伝えにくいものほど熱伝導率は小さくなる。

①正しい。図1のように、全般的には密度が大きい材料ほど熱伝導率は大きく、熱を通しやすい傾向がある。密度が1000kg/m3以上である鋼、コンクリートのような金属、セメント類の熱伝導率は概ね1W/(m・K)以上である。

②正しい。性能の高い断熱材は、内部に大量の気体を含んでいる。内部の気体が流動してしまうと、気体が流動することで熱が伝わってしまい、熱伝導率が小さくならないため、気体をなるべく微細なく空隙に封じ込め、その流動を抑制する必要がある。

③誤り。固体とその周囲の流体との熱移動現象を対流伝熱といい、その熱の移動のしやすさを熱伝達率という。熱伝達率は流体によって変化するほか、流速によっても変化する(例:風速が速い方が身体が冷えやすい)。屋外風速が3m/sある場合と、室内のように風速がほとんどない場合では、室内側の熱伝達率のほうが小さくなる。

④正しい。問題文の通りである。

⑤正しい。中空層とは、材料の間に断熱や遮音の目的で設ける空気の層のことである。厚さが2~5cm程度までは中空層の厚さを増すほど熱抵抗は増大するが、それ以上になると中空層内の流体の流動の影響が大きくなるため、熱抵抗はほとんど変化しなくなる。

出典:倉渕 隆:初学者の建築講座 建築環境工学(第三版) 市ヶ谷出版社(2018年)

 


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