今回は、標準ギブスエネルギー変化ΔrG°と温度の関係についてグラフ作成方法を解説したいと思います。
横軸に温度、縦軸にΔrG°をとったものですね。
ただし、今回は計算などは行わず、熱力学計算ソフト「FactSage」の一部の機能をウェブで無料で利用できる「FACT-Web」を使用していきます。
・酸化物系の平衡状態図や合金状態図の計算、電位 -pH 図の作成、溶融スラグ・ガラスの粘度の予測、熱力学データベースの作成等の機能を有している
参考サイト:計算力学研究センター
サイト内に「FACT-Web はデモンストレーション用です。計算設定の画面や操作方法は商用版とはまったく異なり、限られたデータベースしか使えません。FACT-Web の計算結果を研究や業務に利用する際はご注意ください。」と注意書きがあるのですが、「FactSage」を使用していた私的にはほとんど使い方は同じに見えました。
ただ、データベースが少なかったり、数値が異なる可能性があり、責任はとれませんのであくまで参考として利用してください。
FACT-Webの利用方法
まず、FactWebのページに移動します。
左下に「Reaction Web」というボタンがあるので、クリックします。
クリックすると次のページにとびます。
Amount:モル数(分数表記はこの後エラーとなるので、少数表記にします)
Species:元素
Phase:most stable(熱力学的に最安定状態で計算するという意味)
をセットします。
セットすると以下のようになります。
この状態でNextをクリックします。
上の画面で計算する温度Tを入力します。
ここで、「200 3000 100」のように入力すると便利です。
「温度200Kから3000Kまで、100K毎に計算する。」という意味になります。
上の状態で「Calculate」をクリックします。
すると以下の画面になります。
200Kから3000Kまでの100K毎の熱力学データが得られます。
$ΔrG$だけでなく$ΔrH$や$ΔrS$も得られるので、他の計算にも利用できるかもしれません。
ここで100K毎に計算したはずですが、1184.81K、1667.47K、1810.95Kは個別に計算されています。
これは反応物か生成物のいずれかの物質が相変化する温度に対応しています。
1184.81K:s1→s2
1667.47K:s2→s1
1810.95K:s1→L
sは固相、Lは液相、gは気相を表しており(gはここにはありません)。
ちなみにFe2O3は3000Kまでずっと固相(s)として計算されていますが、実際は熱分解すると思われます。
ただ、データベースにはそのような情報が含まれていないため、固相として計算するしかないようです。
高温度域のデータはない物質が結構あるので、注意が必要です。
さて、この状態で「Download Text file」をクリックします。
するとこのようなTextデータが得られるため、このあとはエクセル等で加工してグラフ化します。