復水器の構造と仕組みをわかりやすく解説します

あなた
復水器ってどんな構造なんだ…イメージがわかない

 

今回は、火力発電などに利用されている復水器について解説していきます。

 

ボイラやタービンと比較すると地味な復水器ですが、実は非常に重要な機器で、復水器が故障してしまうと、発電所の停止にもつながります。

 

自分で勉強していてもなかなか実感がわかない設備ですので、この記事を読んでイメージを持っていいただければ嬉しいです!

 

 

復水器とは

 

復水器とは、タービンで仕事を終えて排出された低圧の湿り蒸気を冷却し、飽和水に戻す装置です。

 

復水器は英語でコンデンサ(condenser)と呼びますので、教科書や参考書によってはコンデンサと記載されているかもしれません。

 

火力発電所のような蒸気を利用して発電するプラントでは、

ボイラ給水ポンプ → ボイラ → タービン →復水器 → ボイラ給水ポンプへ戻る

というサイクルで水を循環利用しています。

 

この水は水質やpHが適切に管理された純水ですので、排水してしまうと経済的に良くありません。

 

そのため、復水器を使用して飽和水に戻し、ボイラ給水ポンプが送水できる状態(ポンプでは蒸気は送れません)にしているのです。

 

 

復水器の構造

 

復水器の分類をすると以下のようになります。

※私が勝手に分類分けしたので、工学的にはもっとしっかりした分け方があるかもしれません。

 

復水器は、冷却媒体によって、水冷式と空冷式に分類され、水冷式はさらに、表面復水器と混合復水器に分類されます。

 

水冷式は、河川や海の近くのように水資源が豊かな発電所で利用される一方、空冷式は水資源に乏しい内陸の発電所で多く利用されています。

 

統計を見たことはないのですが、

・水冷式:海側に建設されている電力会社の大規模火力プラントや原子力プラント

・空冷式:ゴミ焼却プラントやバイオマスプラントのような市町村や海から離れている比較的小規模なプラントに

というイメージです(単純に水冷式の方が処理能力が大きいので、大規模プラントは必然的に水冷になっているのかもしれません)。

 

分類分けしたこの3つの方式を1つずつ説明していきます。

 

水冷式(表面復水器)

 

表面復水器は、復水器内部に多数の冷却水管を設け、蒸気と冷却水管が水管表面で熱交換する復水器です。

復水は再度ボイラに供給され、発電に利用されます。

出典:東北電力株式会社プレスリリース2007年度分 女川原子力発電所3号機の復水器における導電率の監視強化について
   (https://www.tohoku-epco.co.jp/whats/news/2007/02/27a.html)

上の図の、伝熱管と呼ばれるところに冷却水が流れており、それがタービンから送られてきた蒸気と接触することで、冷却されています。

水冷式(混合復水器)

 

混合復水器は、蒸気に直接冷却水を噴霧し、復水を得る方法です。

 

蒸気が地下から発生する地熱発電所では、水を循環させる必要がないため、水を噴霧するだけの簡単な構造である混合復水器が利用されるます。

 

水を循環させる発電プラントでは、利用されません。

空冷式

 

空冷式は、蒸気が通過する配管の外側から送風し、冷却する方法です。

もっと簡単に言えば、蒸気の配管を超でかい扇風機で冷やす方法です笑

出典:三菱重工株式会社 三菱高砂製作所実証設備複合サイクル発電所更新計画に係る 環境影響評価方法書
https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/safety_security/kankyo_karyoku/pdf/h25_02_02_03.pdf

 

上の図のフィン付きチューブと呼ばれる管1本1本に蒸気が流れており、チューブの外側からファンで送られた空気と熱交換してします。

復水は水色の復水ヘッダと呼ばれる配管に集められ、再度発電に利用されます。

まとめ

今回は、タービンから排出された低圧の湿り蒸気を飽和水に戻す装置である復水器の解説を行いました。

 

まとめると、

・復水器とは、タービンで仕事を終えて排出された低圧の湿り蒸気を冷却し、飽和水に戻す装置
・水冷式と空冷式に分類され、水冷式はさらに表面復水器と混合復水器に分類
・表面復水器は、復水器内部に多数の冷却水管を設け、蒸気と冷却水管が水管表面で熱交換する
・混合復水器は、蒸気に直接冷却水を噴霧することで冷却する
・空冷式は、蒸気が通過する配管の外側から送風し、冷却する

 

参考になると嬉しいです。