$$C=\frac{21-On}{21-Os}Cs$$
C:換算後の有害物質濃度 [%もしくは ppm]
On:換算後の酸素濃度 [%] ※たいてい12%
Os:排ガス中の酸素濃度 [%]
Cs:排ガス中の有害物質濃度 [% もしくは ppm]
おそらく私と同じような人が多いと思います。
そこで今回は、
- そもそもなぜ換算する必要があるのか
- この換算式の導出方法
- この換算式を使用した具体的な計算
を解説したいと思います!
酸素濃度12%の条件に換算する意味
排ガス中物質濃度を酸素濃度12%の空気濃度条件で表示するための換算.燃焼によって酸素が消費された後に,排ガスの流れ過程で空気の吹込みや煙道からの外気侵入があることを考慮し,ガス分析時における希釈の条件を統一して比較するための方法である.
参考:一般社団法人 日本機会学会 機械工学辞典 https://www.jsme.or.jp/jsme-medwiki/03:1004794
なんとなくわかりますが、もう少し噛みくださいて説明します。
次の図をご覧ください。
もしくは排ガスを誘引して煙突から放散している場合は、外気が配管内に吸い込まれ、排ガスに空気が混入してしまう可能性があります。
それでは、なぜあの換算式になるのかを解説していきます。
換算式の導出
まず、前提を書きます。すみませんが、面倒なので手書きです笑
味がありますね笑
ここまでの前提は問題ないですね。
続いて、
(測定排ガス中の酸素量)+(換算のために加えた酸素量)=(換算後の酸素量)
が成り立ちますので、
となります。
21という数字は空気中の酸素濃度のことです。
よって、換算後の排ガス量は、
となるわけです。
続いて、有害物質の量は希釈しても増えたり減ったりしないので、
(測定排ガス中の有害物質の量)=(換算後の有害物質の量)
が成り立ちます。
よって、
となり、最初の換算式が示ました。
一見すると、ちょっと不思議な式ですが、このような過程で導出することができます。
具体的な計算
それでは具体的な計算に移ります。次のような条件を考えます。
・煙突から出る排ガス流量:1200m³N/min
・煙突で検出された有害物質濃度:100ppm
・煙突で検出された酸素濃度:3.0%
この時、酸素濃度12%換算の有害物質濃度を算出します。
(換算後の有害物質濃度)=(21ー12)/(21ー3.0)×100 =50 [ppm]
となります。
ここで、仮に外部から空気を200m³N/min吸い込んでいたときの場合を考えます。
・煙突から出る排ガス流量:(1200+200) = 1400 m³N/min
・煙突で検出された有害物質濃度:100×1200/1400 =85.7 ppm
・煙突で検出された酸素濃度:(1200×0.03 + 200×0.21)/1400 = 5.57%
この時の酸素濃度12%換算の有害物質濃度を算出します。
(換算後の有害物質濃度)=(21ー12)/(21ー5.57)×85.7 = 49.987 ≒50 [ppm]
となり、空気を吸い込まなかった時と同じ結果になります。
このように二次空気や外部からの吸い込みの影響を考慮して評価することができます。
おまけ
ちなみに、
$$C=\frac{21-On}{21-Os}Cs$$
C:換算後の有害物質濃度 [%もしくは ppm]
On:換算後の酸素濃度 [%] ※たいてい12%
Os:排ガス中の酸素濃度 [%]
Cs:排ガス中の有害物質濃度 [% もしくは ppm]
の換算式において、JIS K 0311では
排ガス中の酸素の濃度(Os)が20 %を超える場合は,20とする。
と決まっています。
排ガス中の酸素濃度が20%を超える場合は、計算方法が異なるため注意が必要です。